けいのゆるブログ

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20代男子のなんてことのない日常。「マイペースに生きていくこと」が人生のモットー

【断捨離、始めようか】小説『人生オークション(著者:原田ひ香)』レビューします。

 

今回は、『人生オークション(著者:原田ひ香)』のレビューをしたいと思います。

みなさんの読書ライフの参考になりますと幸いです。

 

 

この本を選んだ理由

なんといってもこの本の帯です。

『捨てるって気持ちいい!』

とても目を惹かれる言葉選びで思わず手にとりました。またタイトルの『人生オークション』という秀逸なタイトルにも惹かれ、気が付いたらレジで購入しておりました。

 

内容紹介

こちらの著書は『人生オークション』、『あめよび』の2作品で構成されている小説となっております。

 

あらすじ:『人生オークション』

不倫の果てに傷害罪で起訴され、謹慎処分中であるりりこ叔母さんと、就活に失敗しアルバイト生活中の瑞希。

そんなりりこ叔母さんが住んでいるアパートの部屋は段ボールで溢れている。

その段ボールにはりりこ叔母さんが若いころから集めていたブランドバックや靴、食器などが入っていた。

 

モノで溢れかえっているりりこ叔母さんの部屋を片付けるべく、そして当面の資金繰りのためにバッグや靴等を瑞希を中心にオークションにかけていく。少しずつ片付いていく部屋とともに、二人の心も少しずつ変化していく・・・

あらすじ:『あめよび』

白石眼鏡店で働いている大谷美子(オオタニミコ)と、ラジオ番組のハガキ職人(投稿常連者)である平山輝夫(ラジオネーム:サンシャイン・ゴリラ)との恋愛物語。

 

平山は諱(いみな)を持つ、つまり2つ名を持っている男であることを美子は知ります。そして結婚をしたいという美子の想いと裏腹に、平山は諱(いみな)そして過去の家庭の事情により、美子と結婚することはできないと告げます。

 

そんな2人がたどり着いた先とは・・・

 

諱(いみな)をテーマに描く恋愛物語となります。

 

感想

この本を読み終えた後の正直な感想としては、内容が少し薄いと感じました。

特に印象に残るシーンもなかったです。・・・・が

 

小説の最後にある、文芸評論家:斎藤美奈子の解説を読んで著者に対する、そして本書に対する見え方が大きく変わりました。

 

『自分の考察が足りなかっただけなんだ・・・』

 

特に『あめよび』の解説には衝撃を受けました。

 

それぞれの小説の感想を少しだけ書きます。

(若干ネタバレあります)

 

人生オークション

私が読み終えて真っ先に感じたことは、瑞希とりりこ叔母さん双方の気持ちが自分と似ていると感じたことです。

 

瑞希と同じ気持ちを私も就活のとき感じておりました。

自己分析って一体何?それを頑張ってノートにぎっしり書いている周りの人を見て負い目を感じ、けれど自分はどれだけ考えてもノートぎっしりに自己分析なんてできず。現実逃避ばかりしていました。

 

りりこ叔母さんの気持ちもよく分かりました。

私はとても感情表現をすることが苦手で、この言葉を伝えてもこんな言葉が返ってくるだろうと常に先読みの考えが先行してしまい、自分の感情を伝えることができない人間です。

事実と真実が異なっていても、自分だけが損をして他の皆がそれで納得をするならそれでいい。

 

私も2人と同じだ・・・・。と感じました。

 

しかしこの2人もこの物語を通して、しっかり現実を見てゆっくりと再出発をする決意をしております。

 

自分も頑張ろう。今すぐ現実を見る必要はない。ゆっくりと歩き出そう。そんなことを感じさせてくれる物語でした。

 

解説に書いてあった、「人生リハビリから始めればいいじゃん」という言葉にとても救われた気がしました。

 

あめよび

2人が別れてしまったことは、正直展開としては想像がつきました。しかし2年後に2人が再会し、美子が輝男の諱を教えてもらった時の、怒りと涙の感情が全く理解できないでいました。

 

『在日コリアン』

 

解説に書いてあったこの言葉を読んだ瞬間、ネットで「在日コリアン 平山」と検索をしました。

 

平山が諱を教えなかったのは、こういうことか。。。。

この物語がどこか響かなかったと感じた自分にハッと思わされました。

自分の知識や考察がただ足りなかっただけなんだ。と。。

 

最後の美子の感情は、今さら諱を教えてきた平山に対してではなく自分自身に対する感情。平山の「嘘と秘密」に気づけなかった自分自身への怒りと涙であったのではと感じました。

 

そもそも諱(いみな)を知らなかった私にとって、こんな文化があるんだという新しい発見があった物語でもありました。

 

終わりに

この小説を読んで、今まで読んできた本の感想もまだまだ考察が足りなかったのでは。と感じさせられます。

みなさんもぜひ一度読んでみてください。

 

ではまたお会いしましょう~

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