みなさんこんにちは。
今回は、本屋大賞ノミネートの寺地はるな著書の「川のほとりに立つ者は」のレビューをしたいと思います。
みなさんの今後の読書ライフの参考になると幸いです。
著書内容
出版社:双葉社
発売日:2022年10月20日
定価:1,650円
著者:寺地はるな
あらすじ
カフェの若き店長・原田清瀬は、ある日、恋人の松木が怪我をして意識が戻らないと病院から連絡を受ける。松木の部屋を訪れた清瀬は、彼が隠していたノートを見つけたことで、恋人が自分に隠していた秘密を少しずつ知ることに――。「当たり前」に埋もれた声を丁寧に紡ぎ、他者と交わる痛みとその先の希望を描いた物語。
「当たり前」や「普通」とは何なのか・・・ということを改めて考えさせられる1冊になっています。
当たり前や普通とは、自分が生まれ育った環境や人生における選択や経験の積み重ねの結果であり、つまりはただの「エゴ」であると気づかされました。
感想
「あなたはわたしのことを、どれだけ知っている?」
作中に出てくる本「夜の底の川」のとある一文であり、今回の物語に詰め込まれたすべての想いでもあると考えます。
ADHDであると告白をしたカフェ店員の品川、発達障害により文字が書けない岩井樹(いわいいつき)、複雑な家庭環境で生まれ育った天音(まお)、大切な友人である樹のために秘密を守り抜く主人公清瀬の彼氏である松木。
登場人物の障害や事情など複雑な一面同士が絡み合い物語が展開されていきます。
主人公清瀬が徐々にそれぞれの人物の一面⇒多面の真実を知っていくことで徐々にその絡みがほどかれていく展開に考えを改めさせられました。
カフェ店員である品川さんがADHDであると打ち明けた時、
清瀬は「どうしてもっとはやくいってくれなかったのか」と言った。
対して品川さんは「知っていたら、どうしていたのか」と自身のこれまでの気持ちを打ち明ける場面がありました。
この場面を読んだ時、自分も心が痛みました。
なぜなら自分も清瀬の立場であったら、同じことを言ってしまうと思ったから。
しかしそう思ってしまう価値観は、生まれ持った障害の有無、自分の生まれ育った環境や人生における選択や経験の積み重ねから生まれるものであるため仕方のないことなのかもしれません。
ですがそれを「仕方のないこと」として片付けてしまうのは違う。
自分と違った価値観を持っている人がいるということを「わかったつもり」になるのではなく、大切なのはそういった出会いや経験から「自分の価値観のアップデート」をさせていくことだと考えます。
「わかったつもり」になっている人はとても多いと思います。
寺地はるなさん(著者)は、読者1人1人に、「点ではなく線でみるということや、価値観の違いを認め合うことの大切さ」ということを本書を通して伝えたかったのではと考察します。
障害も個性もすべて認め合い、広い視野で物事をとらえるという現代人に必要な価値観を教えてくる一冊です。
ぜひみなさまも手にとって読んでください。
ではまたお会いしましょう~