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今回は、町田そのこ著書「あなたの知る花」を読んだので、こちらの感想を書いていきたいと思います。
あらすじ
「あんたは、俺から花をもらってくれるのか」
虫も殺せぬ優男、結婚詐欺師……?
77歳で孤独死した老人の、誰も知らない波瀾に満ちた意外な人生とは?
『52ヘルツのクジラたち』町田そのこの新作は、一人の男と美しい花を巡る物語。
感想
街に突如表れた、平という名の絵描きの老人を巡る物語。ある人は詐欺師、ある人は虫も殺せない優男、犯罪者と呼ぶ人も。
この謎に包まれた平という人物が、ある日亡くなり、部屋には1つのヒマワリのブローチと無数のスケッチブックが残されていた。そしてそのスケッチブックには謎の少女が描かれていた。
過去に平と何らかの関わりがあった悦子の孫である安珠が、街で偶然平と出会い、平の何かに惹かれ、この人物の謎を調べることなります。
平の人生の様々な転換点で交わっていた人物の視点から、少しずつこの人物の謎が明かされていきます。
家族からも愛されず、大切な妹を失い、大切に想う人にも裏切られ…平の壮絶すぎる人生にはとても心を痛めました。
この物語は心の居場所の話だと私は感じました。
誰だって自分の想う人とそばにいたい。繋がりたい、理解して欲しいと思う。けれどもそれが叶わず、自分の心の居場所を探している人はたくさんいる。
そんな心の居場所を探している人を前向きにさせる力を持っている1冊だと思いました。
人生には色々なタイミングがある。その人を想うことになるタイミング、寄り添うことになるタイミング、離ればなれとなってしまうタイミング。
見逃してしまいそうなそんな一瞬のタイミングこそ、心の居場所が見つかる瞬間。
そんな一瞬のタイミングを逃さないために全力で、想いが通じ合うまで、心を開いて人を想う気持ちを忘れないようにしたい。
もし大切なタイミングを逃してしまっても、束の間でもそばにて笑い合えた記憶だけでも、大事な人が笑っているだけで充分。そして真っ直ぐに生きた人はいつか真っ直ぐ求められる。背中を追ってくれる人がいる。
その答えにたどり着くタイミングまでにたくさんの悲しみや苦悩があるかもしれないけれど、いつか必ず自分の心の居場所を見つけられる。
決してハッピーエンドではないですが、そんな心の居場所を教えてくれる1冊でした。
どこか落ち込みそうになってしまう気持ちを優しく包んで暖めてくれる。優しい涙がそっと流れる。そんな町田そのこさんの作品が本当に好きです。
みなさんも、町田そのこさんの心温まる優しい世界に足を踏み入れてみてください。きっと大切な何かを教えてくれる1冊だと思います!
ではでは、またお会いしましょう〜