けいのゆるブログ

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アラサー男子のなんてことのない日常。「マイペースに生きていくこと」が人生のモットー

町田そのこ『夜明けのはざま』 レビュー。苦しみや悩みも絶対に無駄じゃない。生きることに前向きになれる1冊。

 

※本サイトはアフェリエイト広告を利用しています。

みなさんこんにちは!

 

本日も当ブログにお越しいただきありがとうございます(^^

 

今回は読了本の感想を書いていきます。

 

著者:町田そのこ

「夜明けのはざま」

こちらのレビューをしていきます。

町田そのこさんの温かい言葉が本当に好きです。

 

 

本屋で町田そのこさんの新作が出ていたので、ソッコーで購入しました!

幸運なことにサイン本を購入することができました!

ということはさておき、本題にうつっていきます。

 

 

 

 

著書概要

著書名:夜明けのはざま(発売年月2023年11月)

著者:町田そのこ

出版社:ポプラ社

ページ数:366ページ

定価:1,870円

 

 

あらすじ

 

『52ヘルツのクジラたち』で本屋大賞を受賞!
3年連続、本屋大賞ノミネート!!

自分の情けなさに、歯噛みしたことのない人間なんて、いない。


地方都市の寂れた町にある、家族葬専門の葬儀社「芥子実庵」。仕事のやりがいと結婚の間で揺れ動く中、親友の自死の知らせを受けた葬祭ディレクター、元夫の恋人の葬儀を手伝うことになった花屋、世界で一番会いたくなかった男に再会した葬儀社の新人社員、夫との関係に悩む中、元恋人の訃報を受け取った主婦……。

死を見つめることで、自分らしく生きることの葛藤と決意を力強く描き出す、『52ヘルツのクジラたち』で本屋大賞を受賞した町田そのこ、新たな代表作!

出典:https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/8008442.html

 

 

 

感想

「死」をテーマにした著書になっており、ちょうど直近で読んだ「ぎょらん」と似たものを感じる作品でした。

 

「ぎょらん」は死と向き合うことで、死に対する向き合い方を表現していて、対して本作「夜明けのはざま」は死と向き合うことで、生きることに対する向き合い方を表現された作品になっていると感じました。

 

keiyurublog.net

 

町田そのこさんの著書は優しい世界観で読後感がとても心地よく、そっと本を閉じて深呼吸をして余韻に浸る。そんなイメージを持っていました。

 

本書は町田そのこさんらしい優しい世界観はもちろんありましたが、どこか強いメッセージ性を感じる。そんな印象を私は受けました。

 

一冊の短編小説集として完成しているだけでなく、短編小説でありながら一話一話全てに著者の強いメッセージ性がありました。

”一話ごとの完成度が非常に高い”ので強いメッセージ性を感じたのだと思います。

 

 

 

まず私が感じたメッセージ性は、

自分のものさしだけで、ものの良し悪しや人の幸せや不幸を推し量ってはいけないということです。

 

「鴨の水搔き」や「隣の芝は青く見える」という表現が正しいのかはわかりませんが、自分だけが不幸に感じる、他の人はどうしてこんなに幸せに見えるのだろう。どうして自分はこんな事を言われないといけないのだろう。というのは全て自分の見えている世界なだけであって、それだけで推し量ることは間違っている。

 

見えない所での苦しみや悩みは誰しもが抱えていて、水面下では誰しもその悩みに苦しみながら生きている。

 

そしてそれを共有出来たときに初めて見えてくる視点があり、それを知ることで人は成長をしていく。

人間関係というのは、人それぞれの生い立ちや考え方や感情が入り交じっていて、自分が思っているほどそんなに簡単では無い。

 

そんなメッセージを感じました。

 

 

他に感じたメッセージ性は

自分らしく生きるということです。

 

本作品は男尊女卑などの昔ながらある、男はこうであるべき女はこうであるといった差別的な見方をする人物が多く登場します。

 

過去の文化ではありますが、それに対して言葉で表せられない生き辛さを感じている人たちの心の声を上手に表現されていると思いました。

 

そんな生き辛さを感じながらも、死と向き合うことで自分らしく生きることの大切さということを教えてくれました。

 

この2つのメッセージを短編小説という作品を活かして、様々な登場人物の視点から訴えかけていると感じました。

 

読んでいくうちに少しづつ気持ちを前向きにさせてくれる。そんな作品でした。

 

みなさんもぜひ読んでください。

ではまたお会いしましょう〜

 

 

 

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町田そのこ『ぎょらん』-レビュー|優しい世界と温かい言葉でネガティブな印象を包み込む優しい物語。

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みなさんこんにちは!

本日も当ブログにお越しいただきありがとうございますm(_ _)m

 

今回は、

「ぎょらん(著者:町田そのこ)」

 

こちらを読み終えたので、感想を書いていきたいと思います。

やっぱり、町田そのこさんが描く優しい物語が大好きです。

 

 

 

著書概要

出版社:新潮文庫

発売日:2018年10月31日

定価:単行本(1815円)、文庫本(935円)

著者:町田そのこ

 

 

あらすじ

 

人が死ぬ際に残す珠「ぎょらん」。噛み潰せば、死者の最期の願いがわかるのだという。地方都市の葬儀会社に勤める元引きこもり青年・朱鷺は、ある理由から都市伝説めいたこの珠の真相を調べ続けていた。「ぎょらん」をきっかけに交わり始める様々な生。死者への後悔を抱えた彼らに珠は何を告げるのか。傷ついた魂の再生を圧倒的筆力で描く7編の連作集。文庫書き下ろし「赤はこれからも」収録。

出典:https://www.shinchosha.co.jp/book/102742/

 

 

 

感想

まず読み終えて感じたのは、町田そのこさんが書く物語が本当に好きだ”ということです。

 

本作品のタイトルにもなっている「ぎょらん」とは亡くなった人が最後に遺した想いがわかるというもの。

 

赤い玉である、口にすると想いが伝わる、手で持つだけで伝わる、さらには名称までも諸説ある、いわゆる都市伝説に近い存在であるものが、過去にぎょらんを口にして以来、立ち直れずにいる少年、朱鷺(とき)を中心に再生を描いている短編小説です。

 

物語の性質上、死というネガティブな印象が先に頭に入ってしまい悲しい物語と受け取られるかもしれません。

 

しかし町田そのこさんは、そんなネガティブな印象を優しい世界観と温かいたくさんの言葉で包んでくれている。そんな印象を受けた物語でした。

優しさと温もりで包まれた、町田そのこさんの物語に涙なしで読み終えることはできませんでした。

 

 

 

ぎょらんの正体は、死者が遺すのではなく本人が故人に対してこうであって欲しいという願いや祈りが結晶となったものであり、憎まれていると思う人は憎しみ。怒っていると思う人は怒り。愛されてると思う人は愛のぎょらんをつくると整理されています(これも諸説あるかもしれません)

 

死というのは不思議なことに実際に直面しないと、自分と隣り合わせになっていることに気づくことができず、そして全ての人が幸せな死を選ぶことはできるわけではありません。私自身も今生きていますが、明日には不慮の事故で命が尽きるかもしれません。

 

筆者が伝えたかった想いは、死は決して自分や周囲が望んだタイミングではない、だからこそいつ死と直面しても後悔のない生き方をして欲しい。

そんな想いを私は受け取りました。

 

 

 

「どうしようもない死を前にした時、人は立ちつくして死者とまた繋がれないかと苦悩する。死者との繋がりや記憶で救われることももちろんある。けれど絶望の沼の中まで寄り添ってくれて、引き揚げて立ち上がらせてくれるのはいつだって同じ世界に生きている人である。」

本書で心に響いた言葉です。

 

確かにその通りだ。作中のこの言葉を読んだ時涙せずにはいられませんでした。

 

死に直面した人の絶望の中まで寄り添い引き上げて立ち上がらせる……自分にそんな偉大なことができるのか……分からないけれど誰かのために、そして自分が後悔をしない道を選んで前向きに生きていきたい。

 

そんな気持ちを私の心に宿してくれる一冊でした。

 

みなさんも、町田そのこさんの世界観をぜひご自身で体感してください。

人として大切な想いをきっと心に残してくれる作品ばかりです。

 

今回はこのあたりで、ではまたお会いしましょ〜

 

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町田そののさんは私が読書を好きになるきっかけとなった著者さんです。

keiyurublog.net

 

オススメの著書

↓初めて読んだ町田そのこさんの著書です↓

 

こちらもオススメです!!

 

 

↓今私はこちらを読んでます!↓

 

 

 

 

【本屋大賞ノミネート】「川のほとりに立つ者は(著者:寺地はるな)」読んだ感想。当たり前とはなんなのか。レビューします。

みなさんこんにちは。

 

今回は、本屋大賞ノミネートの寺地はるな著書の「川のほとりに立つ者は」のレビューをしたいと思います。

 

みなさんの今後の読書ライフの参考になると幸いです。

 

 

著書内容

出版社:双葉社

発売日:2022年10月20日

定価:1,650円

著者:寺地はるな

 

あらすじ

 

カフェの若き店長・原田清瀬は、ある日、恋人の松木が怪我をして意識が戻らないと病院から連絡を受ける。松木の部屋を訪れた清瀬は、彼が隠していたノートを見つけたことで、恋人が自分に隠していた秘密を少しずつ知ることに――。「当たり前」に埋もれた声を丁寧に紡ぎ、他者と交わる痛みとその先の希望を描いた物語。

出典:川のほとりに立つ者は - 寺地はるな (単行本) | 双葉社 公式 (futabasha.co.jp)

 

「当たり前」や「普通」とは何なのか・・・ということを改めて考えさせられる1冊になっています。

 

当たり前や普通とは、自分が生まれ育った環境や人生における選択や経験の積み重ねの結果であり、つまりはただの「エゴ」であると気づかされました。

 

 

感想

「あなたはわたしのことを、どれだけ知っている?」

 

作中に出てくる本「夜の底の川」のとある一文であり、今回の物語に詰め込まれたすべての想いでもあると考えます。

 

ADHDであると告白をしたカフェ店員の品川、発達障害により文字が書けない岩井樹(いわいいつき)、複雑な家庭環境で生まれ育った天音(まお)、大切な友人である樹のために秘密を守り抜く主人公清瀬の彼氏である松木。

 

登場人物の障害や事情など複雑な一面同士が絡み合い物語が展開されていきます。

主人公清瀬が徐々にそれぞれの人物の一面⇒多面の真実を知っていくことで徐々にその絡みがほどかれていく展開に考えを改めさせられました。

 

カフェ店員である品川さんがADHDであると打ち明けた時、

清瀬は「どうしてもっとはやくいってくれなかったのか」と言った。

対して品川さんは「知っていたら、どうしていたのか」と自身のこれまでの気持ちを打ち明ける場面がありました。

 

この場面を読んだ時、自分も心が痛みました。

なぜなら自分も清瀬の立場であったら、同じことを言ってしまうと思ったから。

 

しかしそう思ってしまう価値観は、生まれ持った障害の有無、自分の生まれ育った環境や人生における選択や経験の積み重ねから生まれるものであるため仕方のないことなのかもしれません。

 

ですがそれを「仕方のないこと」として片付けてしまうのは違う。

 

自分と違った価値観を持っている人がいるということを「わかったつもり」になるのではなく、大切なのはそういった出会いや経験から「自分の価値観のアップデート」をさせていくことだと考えます。

 

「わかったつもり」になっている人はとても多いと思います。

寺地はるなさん(著者)は、読者1人1人に、「点ではなく線でみるということや、価値観の違いを認め合うことの大切さ」ということを本書を通して伝えたかったのではと考察します。

 

障害も個性もすべて認め合い、広い視野で物事をとらえるという現代人に必要な価値観を教えてくる一冊です。

 

ぜひみなさまも手にとって読んでください。

ではまたお会いしましょう~

 

 
 
↓私が読んできた中の寺地はるなさんオススメ著書↓

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【断捨離、始めようか】小説『人生オークション(著者:原田ひ香)』レビューします。

 

今回は、『人生オークション(著者:原田ひ香)』のレビューをしたいと思います。

みなさんの読書ライフの参考になりますと幸いです。

 

 

この本を選んだ理由

なんといってもこの本の帯です。

『捨てるって気持ちいい!』

とても目を惹かれる言葉選びで思わず手にとりました。またタイトルの『人生オークション』という秀逸なタイトルにも惹かれ、気が付いたらレジで購入しておりました。

 

内容紹介

こちらの著書は『人生オークション』、『あめよび』の2作品で構成されている小説となっております。

 

あらすじ:『人生オークション』

不倫の果てに傷害罪で起訴され、謹慎処分中であるりりこ叔母さんと、就活に失敗しアルバイト生活中の瑞希。

そんなりりこ叔母さんが住んでいるアパートの部屋は段ボールで溢れている。

その段ボールにはりりこ叔母さんが若いころから集めていたブランドバックや靴、食器などが入っていた。

 

モノで溢れかえっているりりこ叔母さんの部屋を片付けるべく、そして当面の資金繰りのためにバッグや靴等を瑞希を中心にオークションにかけていく。少しずつ片付いていく部屋とともに、二人の心も少しずつ変化していく・・・

あらすじ:『あめよび』

白石眼鏡店で働いている大谷美子(オオタニミコ)と、ラジオ番組のハガキ職人(投稿常連者)である平山輝夫(ラジオネーム:サンシャイン・ゴリラ)との恋愛物語。

 

平山は諱(いみな)を持つ、つまり2つ名を持っている男であることを美子は知ります。そして結婚をしたいという美子の想いと裏腹に、平山は諱(いみな)そして過去の家庭の事情により、美子と結婚することはできないと告げます。

 

そんな2人がたどり着いた先とは・・・

 

諱(いみな)をテーマに描く恋愛物語となります。

 

感想

この本を読み終えた後の正直な感想としては、内容が少し薄いと感じました。

特に印象に残るシーンもなかったです。・・・・が

 

小説の最後にある、文芸評論家:斎藤美奈子の解説を読んで著者に対する、そして本書に対する見え方が大きく変わりました。

 

『自分の考察が足りなかっただけなんだ・・・』

 

特に『あめよび』の解説には衝撃を受けました。

 

それぞれの小説の感想を少しだけ書きます。

(若干ネタバレあります)

 

人生オークション

私が読み終えて真っ先に感じたことは、瑞希とりりこ叔母さん双方の気持ちが自分と似ていると感じたことです。

 

瑞希と同じ気持ちを私も就活のとき感じておりました。

自己分析って一体何?それを頑張ってノートにぎっしり書いている周りの人を見て負い目を感じ、けれど自分はどれだけ考えてもノートぎっしりに自己分析なんてできず。現実逃避ばかりしていました。

 

りりこ叔母さんの気持ちもよく分かりました。

私はとても感情表現をすることが苦手で、この言葉を伝えてもこんな言葉が返ってくるだろうと常に先読みの考えが先行してしまい、自分の感情を伝えることができない人間です。

事実と真実が異なっていても、自分だけが損をして他の皆がそれで納得をするならそれでいい。

 

私も2人と同じだ・・・・。と感じました。

 

しかしこの2人もこの物語を通して、しっかり現実を見てゆっくりと再出発をする決意をしております。

 

自分も頑張ろう。今すぐ現実を見る必要はない。ゆっくりと歩き出そう。そんなことを感じさせてくれる物語でした。

 

解説に書いてあった、「人生リハビリから始めればいいじゃん」という言葉にとても救われた気がしました。

 

あめよび

2人が別れてしまったことは、正直展開としては想像がつきました。しかし2年後に2人が再会し、美子が輝男の諱を教えてもらった時の、怒りと涙の感情が全く理解できないでいました。

 

『在日コリアン』

 

解説に書いてあったこの言葉を読んだ瞬間、ネットで「在日コリアン 平山」と検索をしました。

 

平山が諱を教えなかったのは、こういうことか。。。。

この物語がどこか響かなかったと感じた自分にハッと思わされました。

自分の知識や考察がただ足りなかっただけなんだ。と。。

 

最後の美子の感情は、今さら諱を教えてきた平山に対してではなく自分自身に対する感情。平山の「嘘と秘密」に気づけなかった自分自身への怒りと涙であったのではと感じました。

 

そもそも諱(いみな)を知らなかった私にとって、こんな文化があるんだという新しい発見があった物語でもありました。

 

終わりに

この小説を読んで、今まで読んできた本の感想もまだまだ考察が足りなかったのでは。と感じさせられます。

みなさんもぜひ一度読んでみてください。

 

ではまたお会いしましょう~

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エッセイ『好きなことだけで生きる』読みました。フランス人の生き方や価値観は素敵。

 

フランス人の生き方や価値観に憧れている20代独身男です。

 

みなさんこんにちは。

 

はい、ということで、今回は

『好きなことだけで生きる』

著者:ドラ・トーザン

 

こちらの本を読んだので、感想を記事にします。

 

他の国の方の価値観を知れるのはとても良い刺激となり、気づきをもらえますね。

 

この本を選んだきっかけ

私が一人暮らしを始めたときに⇓こちらの本⇓を読んでから、少しずつ自分の価値観が変わり、フランス人の生き方や価値観に憧れを抱くようになりました。

こちらの本は自分の生活を見直したくなる素晴らしい1冊です。みなさんもぜひ読んでみてください。

 
そして本屋で何を読もうか探していた時にふと、『好きなことだけで生きる』が目に入り、当時の記憶に残っていた気持ちがこの本も読みたい!と駆り立ててきたのがきっかけとなります。
 

感想

自分の生き方や本当に好きなものは何か。

自分が気づかぬ間に自分軸ではなく、他人軸で生きていないか??

 

改めて自分にとって本当に大切なものは何かを考えさせてくれる1冊です。

 

自分を最も愛することができるのは自分自身。

 

同調圧力が強い日本では、自分らしく生きることが難しいと感じることが多々ありますが、人生一度きり!後悔のないように自分らしく生きていきたいと思います。

 
ではまたお会いしましょう~

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小説『ラブカは静かに弓を持つ(著者:安壇美緒)』最近読んだ本で1番泣きました。レビューします。

 

みなさん、こんにちは!

けいのゆるブログへようこそ。

 

著者:安壇美緒『ラブカは静かに弓を持つ』を読みました!

 

こんなにも涙しながら読んだ本は本当に久しぶりでした。

みなさんに絶対読んでほしい一冊です!

 

 

~なぜこの本を選んだのか~

いわゆるジャケ買いというものですね。

この本のジャケを見て思わず手に取ってしまい、音楽系の小説をあまり読んだことがないと思い、本屋大賞ノミネート作品であれば間違いないだろう!

そんな気持ちでこの本を選びました。

 

~あらすじ~

出典:ラブカは静かに弓を持つ公式(https://www.bungei.shueisha.co.jp/shinkan/rabuka/

全日本音楽著作権連盟(全著連)は音楽教室からも著作権使用料を徴収することを開始する。裁判での証拠をつかむために、そこで働く橘(たちばな)は、2年間生徒として音楽教室に潜入捜査をすることを命じられる。

 

過去のトラウマからチェロを弾くことに恐怖をいただいていた橘であったが、講師・浅葉の音楽と出会い、仲間と出会い、次第に心を溶かす。

 

しかし橘は、潜入調査をしているスパイである自分と、講師・仲間といる自分。次第にどちらが本当の自分であるのかが分らなくなっていく・・・

 

~感想~

本当に温かい物語でした。こういった人情のある物語はどうしても弱く・・・涙なしでは読んでいくことはできませんでした。

 

この話は、「信頼」と「境界線」の話であると感じました。

 

裁判での立証人として潜入調査をやるということは、まったく理解ができない。そんなことは感じません。

 

しかし、あまりにもその調査をする橘の時間と感情をないがしろにし過ぎている。

 

音楽教室で次第に仲間との信頼関係が築かれていくが、自分の存在を偽り続けないといけない。

仕事と仲間との境界線が分らない。自分の本当の座標はどこにあるのだろう。橘の気持ちを考えると本当に心が痛くなりました。

仕事と感情の切り離しをしないといけない。大人の世界は汚れていると感じました。

 

 

講師と生徒の間には、信頼や絆、他では代替できないものがある。

本当にその通りだと思います。

 

人との信頼や絆はとても強く、そして同時にとても脆い。

そんな目に見えないものに人はすがり、そして勇気や強さを持つことができる。

 

孤独な少年であった橘が勇気や強さを持たせてくれたのは、いつだって心を許した浅葉先生やその仲間たちでした。

 

潜入調査をしていたスパイであり、大切な仲間たちを裏切ってしまったということは事実かもしれません。

しかし時間をかけて信頼を積み重ねた人間関係に偽りはありませんでした。

 

『裏切ってしまったという事実』と『積み重ねた信頼関係という真実』

音楽によってできた仲間との信頼や絆は、再び音楽によって紡がれていく。それを音楽のように優しい音色(言葉)によって表現された著者に脱帽です。

 

 

心に響く言葉がたくさん詰まっている一冊でした。

みなさんもきっと心に響く、そして大切にしたい言葉がこの本から見つかると思います。

 

ぜひ、みなさまにも手に取って読んでいただきたいです。

 

 
では、またお会いしましょう~

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著者:一穂ミチ『パラソルでパラシュート』ネタバレしない程度にレビューします。

みなさん、こんにちは。

けいのゆるブログへようこそ!

 

今回は講談社から出版されております

『パラソルでパラシュート(著者:一穂ミチ)』のレビューをネタバレしない程度にレビューをしていきます!

 

~あらすじ~

会社の受付嬢である美雨は30歳になると契約解除になる契約社員の仕事をしている。

ただ歳を重ねるという当たり前のことで否定され、ただ生きていくことの難しさを感じている中、お笑い芸人である亨と出会う。

 

受付嬢である美雨は年齢により会社から見限られ、対して芸人は年齢という垣根がない。一見対照的な仕事であるが、どちらも将来に対する不安がある仕事という共通点を見つける。

 

美雨とシェアハウスに住む芸人たちと過ごすうちに次第に美雨は自分の居場所を見つけていく・・・・。

 

参考:講談社BOOK倶楽部(https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000358370

 

~感想~

とても読みやすい本でした。心を落ち着けて読むことができる一冊です!

 

この本は、『セーフティネット(自分の居場所)』ということをテーマとした一冊だと思います。

 

崖っぷちの状況でパラソルでパラシュートをしても、セーフティネット(自分の居場所)があれば、きっと大丈夫。

将来に対する不安は誰しもが持っている。大切なのはそんな不安があっても大丈夫だと思える居場所を見つけることだということを教えてくれました。

 

「大丈夫じゃないけど大丈夫!」不安を抱えながらでもいい。

 

誰にどう思われても自分らしく生きる。そして自分が支えられていると思う居場所にいる人も同じようにそう思って欲しい。

 

支え、支えられる。そんな関係性を少しずつ築いていく展開に心が温まりました。

 

そして、芸人と過ごしていたからなのか、美雨の随所に出てくる笑いのセンスにクスっとさせられます(笑)

 

ぜひみなさんにも読んでいただきたい一冊です。

 

ではまたお会いしましょう~