みなさん、こんにちは!
けいのゆるブログへようこそ。
著者:安壇美緒『ラブカは静かに弓を持つ』を読みました!
こんなにも涙しながら読んだ本は本当に久しぶりでした。
みなさんに絶対読んでほしい一冊です!
~なぜこの本を選んだのか~
いわゆるジャケ買いというものですね。
この本のジャケを見て思わず手に取ってしまい、音楽系の小説をあまり読んだことがないと思い、本屋大賞ノミネート作品であれば間違いないだろう!
そんな気持ちでこの本を選びました。
~あらすじ~
全日本音楽著作権連盟(全著連)は音楽教室からも著作権使用料を徴収することを開始する。裁判での証拠をつかむために、そこで働く橘(たちばな)は、2年間生徒として音楽教室に潜入捜査をすることを命じられる。
過去のトラウマからチェロを弾くことに恐怖をいただいていた橘であったが、講師・浅葉の音楽と出会い、仲間と出会い、次第に心を溶かす。
しかし橘は、潜入調査をしているスパイである自分と、講師・仲間といる自分。次第にどちらが本当の自分であるのかが分らなくなっていく・・・
~感想~
本当に温かい物語でした。こういった人情のある物語はどうしても弱く・・・涙なしでは読んでいくことはできませんでした。
この話は、「信頼」と「境界線」の話であると感じました。
裁判での立証人として潜入調査をやるということは、まったく理解ができない。そんなことは感じません。
しかし、あまりにもその調査をする橘の時間と感情をないがしろにし過ぎている。
音楽教室で次第に仲間との信頼関係が築かれていくが、自分の存在を偽り続けないといけない。
仕事と仲間との境界線が分らない。自分の本当の座標はどこにあるのだろう。橘の気持ちを考えると本当に心が痛くなりました。
仕事と感情の切り離しをしないといけない。大人の世界は汚れていると感じました。
講師と生徒の間には、信頼や絆、他では代替できないものがある。
本当にその通りだと思います。
人との信頼や絆はとても強く、そして同時にとても脆い。
そんな目に見えないものに人はすがり、そして勇気や強さを持つことができる。
孤独な少年であった橘が勇気や強さを持たせてくれたのは、いつだって心を許した浅葉先生やその仲間たちでした。
潜入調査をしていたスパイであり、大切な仲間たちを裏切ってしまったということは事実かもしれません。
しかし時間をかけて信頼を積み重ねた人間関係に偽りはありませんでした。
『裏切ってしまったという事実』と『積み重ねた信頼関係という真実』
音楽によってできた仲間との信頼や絆は、再び音楽によって紡がれていく。それを音楽のように優しい音色(言葉)によって表現された著者に脱帽です。
心に響く言葉がたくさん詰まっている一冊でした。
みなさんもきっと心に響く、そして大切にしたい言葉がこの本から見つかると思います。
ぜひ、みなさまにも手に取って読んでいただきたいです。