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みなさんこんにちは!
本日もお越しいただきありがとうございます。
今回は、渚かなえ著書「落日」の感想を記事にしたいと思います。
ではでは、本日もどうぞお付き合いください。
作品情報
ジャンル
サイズ
ページ
432P
ISBN
978-4-75844508-5
落日(渚かなえ)書評
あらすじ
わたしがまだ時折、自殺願望に取り付かれていた頃、サラちゃんは殺された──新人脚本家の甲斐千尋は、新進気鋭の映画監督長谷部香から、新作の相談を受けた。十五年前、引きこもりの男性が高校生の妹を自宅で刺殺後、放火して両親も死に至らしめた『笹塚町一家殺害事件』。笹塚町は千尋の生まれ故郷でもあった。香はこの事件を何故撮りたいのか。千尋はどう向き合うのか。そこには隠された驚愕の「真実」があった……令和最高の衝撃&感動の長篇ミステリー。
出典:湊かなえ/落日
感想・レビュー
初監督作品で国際映画賞を受賞した長谷部香が、甲斐千尋へ脚本依頼をしたことでこの物語が始まります。
現実の時間軸では千尋がメイン、そして並行して香の過去の経緯が明かされていく形で本書は構成されています。
本書で語られた、「事実」と「真実」の違い。誰が見ても変わらない客観的な事柄は「事実」、その事実に感情が入り、当事者や関係者といった人の行動の裏にある感情や動機を含めたものが「真実」であると。
この「笹塚町一家殺人事件」は事実ベースでは、千尋と何の繋がりもない。しかし、香が真実を追い求めていった結果、全く異なって見えた点が繋がっていき、「真実」という線の世界が見えてきた。この点と点の散りばめ方や繋げ方が非常によくできていると感じました。
世の中は基本的に事実ベースで伝えられます。そして大半の人はその内容で満足をする。世の中の大半の人を満足させられるのが「事実」であり、残った少数の人たちも救うことができるのが「真実」であると私は解釈しました。
すべての事柄に対して、真実を追い求めることはできないですが、事実だけを見て、自分の勝手な解釈で真実の想像をすることはやめよう、そう感じました。
香と千尋、それぞれが持っていた辛い過去が一つの事件の真実を追い求めたことにより、過去を乗り越え新しい希望を持った明日を迎える。
そして、本書の作品名「落日」というのは日は落ちてもまた昇るという希望を持った作品名であると。
単純に「面白かった」といった表現では足りない、明日への希望と勇気を与えてくれる作品でした。
みなさんもぜひ、ご覧ください。
ではでは、またお会いしましょう~~