けいのゆるブログ

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20代男子のなんてことのない日常。「マイペースに生きていくこと」が人生のモットー

町田そのこ『月とアマリリス』あらすじとレビュー!共依存と愛着障害、人間の「心のスキ」を突いた物語。

 

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はじめに

みなさんこんにちは。

本日もお越しいただきありがとうございます。

今回は、著者:町田そのこ「月とアマリリス」のレビューをしていきたいと思います。やはりこの方の作品は当たり前と言う考え方をひっくり返されます。

ではでは、本日もどうぞお付き合いください。

 

 

 

 

あらすじ

 

北九州市郊外の山中で一部が白骨化した遺体が発見された。地元のタウン誌でライターとして働く飯塚みちるは、元上司で週刊誌編集者の堂本宗次郎の連絡でそのニュースを知った。

遺体と一緒に花束らしきものが埋められており、死因は不明だが大きな外傷はなかった。警察は、遺体を埋葬するお金のない者が埋めたのではないかと考えているという。

発見された遺体の背景を追い、記事にしないかと仕事の依頼をしてきた宗次郎に、みちるは「わたしはもう、ライターで生きていくって決めた」と答えた。

みちるには、ある事件記事を書いたことがきっかけで週刊誌の記者をやめた過去があった・・・・。

出典:『月とアマリリス』町田そのこ |小学館

 

感想

元事件記者だった飯塚みちるが、とあることがきっかけで1つの事件を追うことになる。事件を通じて過去の自分の過ちに傷つきながらも立ち直り、事件にかかわる人物の過去の生い立ちや人生を知り、事件の事実ではなく、真実に辿り着いていく物語となっております。

 

いじめ、虐待、男尊女卑、共依存、愛着障害。様々な社会的な問題や人間の心のスキといった、声にならない・できない人たちに力強いメッセージを与えてくれる物語であると感じました。

 

事件に関わる人物に共通していたのは、全員が愛情を求めていたということ。

 

人は一人では生きていけない、そして愛なしで生きていくこともできない。感受性が豊かというのは、人間らしさの一つであり、人間としての魅力の一つでもあるが裏を返すと人間の弱い部分でもある。そしてその弱い部分に入り込み、悪事を企む人間もいる。

 

本書の印象に残った言葉として

「人は人で歪む。けれども人は人によって真っ直ぐになることもできる。」

というセリフがあり、この言葉こそが、筆者が読者に最も伝えたいメッセージであったと考えます。この言葉を心にしっかりと心に刻みたいと思う。

 

 

 

十人十色の感情を持つ人間である以上、今回のような事件を完全になくすというのは難しいのかもしれないけれども、みちるの上司、宗次郎が言っていたように「記者は光の瞬きと似ている。届けられないこともあるし、気づかれないこともある。暗闇にいる人の視界や足元を照らすことも難しいかもしれない。でも、瞬きを絶えず繰り返せば確かな光となる。

どうかこの作品がたくさんの人の心に届く作品となり、世の中を変える一筋の光となることを願っています。

 

いつもの町田そのこさんのテイストとはまた違った世界観であると感じましたが、町田そのこさんが伝えたかったメッセージをきっと汲み取ることができたと思っています。

 

著書情報


月とアマリリス [ 町田 そのこ ]