はじめに
みなさんこんにちは!本日もお越しいただきありがとうございます。
あらすじ
パリに暮らすインテリアデザイナーのポールは、離婚歴のある39歳。美しいがもう若くないことを自覚している。恋人のロジェを愛しているけれど、移り気な彼との関係に孤独を感じていた。そして出会った美貌の青年、シモン。ポールの悲しげな雰囲気に一目惚れした彼は、14歳年上の彼女に一途な愛を捧げるが――。二人の男の間で揺れる大人の女の感情を繊細に描く、洒脱で哀切な恋愛小説の名品。
感想
若い頃に離婚をした後、インテリアデザイナーの職に就いている独身で39歳の女性、ポールがこの物語の主人公。
そしてそのポールの恋人であるロジェ。ポールのデザイナーの仕事をきっかけに知り合った、美しい美貌をもった25歳のシモン。
この3人の三角関係を描く物語となっています。
ロジェは気まぐれな性格で、ポールを振り回し、挙句は別の女性との関係を持つほど。私に言わせるとロジェはクレイジーな人間。
対してシモンはポールに対して真っ直ぐな想いをしっかり伝えてくれる。若さ溢れる純粋な青年。決して積極的でなく、頼れるといったタイプでないけれども、不器用なりに要所要所でしっかり手を差し出してくれる人間。
ポールは過去に離婚をしてしまったものの現在は経済的に自立しているものの、ロジェの気まぐれに振り回されながら孤独を感じている女性。
この3人それぞれの心情をとても繊細な言葉選びを用いて表現をしているのが本書の良さです。
時に辛辣に、時に優しく、繊細に。ここまで豊かな感情表現は日本人作家ではなかなかできない作品だなぁと感じました。
え、そんな受け取り方するんだ!?そんな考え方になるんだ!?と驚かさせる感情表現も多かった。文化も違えば感じる感情も違うということも実感する1冊でもありました。
個人的には物語の結末が意外だった。
この3人の三角関係は
ポール⇔ロジェは「愛」
ポール⇔シモンは「恋愛」
というようなイメージ。そんな関係性で、最後にポールが選んだのは「愛」でした。つまり、ポールはロジェを選びました。
でもポールとロジェはかなり汚れている方の愛であってそんなにキレイなものではないかもしれない。
だからシモンを選んで欲しかったのが個人的な想い。
物語が進むにつれてシモンに心が向かっていたのですが...最後にポールが選んだのはロジェ。そういう展開になるのかぁと少し驚かされました。
うーん、難しい!正直ポールはシモン、ロジェどちらを選んでも幸せにはなれなかったのかもしれないとも思った。ポールも若くはないので、若いシモンとの年齢差や刺激というより、心落ち着くロジェを選んだのかなぁというのが個人的な結論。ポールがちゃんと幸せになる未来になることを願っています。
改めてお伝えしますが、
本書の素晴らしさは心情を表現するための言葉選びだと思います。
たぶんこれは男性では書けない。感性豊かな女性でこの著者だからこそ描くことができた物語だと感じた1冊でした。
そして作品名の「ブラームスはお好き」というセンスも秀逸で素敵。ぜひ本書を読んで、このタイトルの由来となった部分を読んでいただきたいです。
みなさんもぜひ、読んでみてください!
恋する気持ちを思い出せるかも!?
では、またお会いしましょう〜