はじめに
みなさんこんにちは!本日もお越しいただきありがとうございます。
今回は 町田そのこ著書
「星を掬う」
こちらを読んだのでそのレビューを記事にしていきます。
本日もどうぞお付き合いお願いします。
あらすじ
元夫からのDVに苦しむ主人公 千鶴(ちづる) は、そのDVから逃れるために逃げ込んだ先の「さざめきハイツ」で、幼い頃に自分自身を捨てた母と再開します。
しかし再会した母は若年性の認知症を患っており、少しずつ記憶が無くなっていってしまうといった状態。
なぜ母は千鶴を捨ててしまったのか、千鶴は母と娘の関係を取り戻すことができるのか。
記憶を失っていく母が、記憶の海から掬い上げるわずかな星を頼りに、傷つけ傷つけられながらも母と娘の関係を取り戻していく再生物語となります。
感想
個人的な結論としては、少しだけ煮え切らない気持ちが残った作品だなぁと。
物語の終え方としては町田そのこさんらしい温かい気持ちにはなりましたが、この先千鶴が幸せで報われる世界の想像が全くつきませんでした。
もちろん永遠の幸せなんてこの世にはないけれど、記憶が無くなっていくお母さんとの幸せな未来を、作品を読み終えた先にまだ幸せが繋がっていくということが、自分の中で描くことができなかったことがこのモヤモヤの正体かな。。
けれども、母が記憶の海から掬い上げるほんの小さな過去の記憶でも千鶴にとっては、これ以上ない幸せであったのだろうなと、記憶を無くしていってしまう母との幸せはほんの刹那の時間かもしれないけれど、それが永遠に続いていくのではと思えることのできる描写はさすが町田そのこさんだなと感じました!
どんな理由があっても自分の子どもを捨てるのは間違っている。
子どもを授かった経験のない私にとっては、子どもを捨てる母の気持ちを理解することには到底いたらなかったのですが、
自分の生まれ育った環境や性格、感情、人に対する想いなど、多くの事情が複雑に絡まり合い、正論パンチだけで済まないその人なりの覚悟や問題、悩みを抱えている人もいて起きてしまう問題であると感じました。
そして本書はそんな辛い境遇にある人に、自分自身の過去を見て殻に閉じ込まるのではなく、人生は自分が主役!過去ではなく、未来に目を向けて前に進んで欲しいという強いメッセージを感じさせてくれます。
改めて町田そのこさんが、世の中に表立って問題とされていない苦しんでいる人たちに焦点を当て、温かい光を示すことができる素敵な著者であることを実感。
また1つ、町田そのこさんの素敵な世界を味わうことのできる1冊でした。
そして本書最後のあとがきも本書の読了感に深みを与えてくれるのがとてもよかった。自分もこんな風に素敵なあとがきができる人になりたいな。
作品情報
タイトル:星を掬う
著者:町田そのこ
初版刊行日:2024/9/19
ページ数:360ページ
定価:836円(税込)
みなさんも、ぜひお読みください。
その他にも町田そのこさんの著書をたくさん読んでいます。こちらの記事も見ていただけると嬉しいです。
ではでは、またお会いしましょう〜〜